model based approach

実験心理学で行動を客観的な指標で評価しようとすると、古典的には

  • 反応時間
  • 正答率

の2つが絶対的な指標として用いられて来たわけだが、これだけでとらえられる物なんてわずかしか無い。表情筋の評価(FACS)などはあるが、FACSは熟練がいるし、そもそも微妙な変化となると判定者ごとのばらつきが結構大きいらしい。


最近気に入って取り組もうとしているのは行動をモデル化して、そのパラメーターの変化として行動をとらえる事だ。現在身を寄せているw経済学の分野ではノイマン・モルゲンシュタイン以降、モデルとして定式化して数学的に証明をすると言うアプローチを皆取っているので、モデルはゴロゴロと転がっている。


被験者に色々と問題を提示して、その答えからモデルのパラメータを推定する。それによって、個々の被験者の行動特性を評価しようと言うわけだ。さらに、実験操作によってパラメーターの一部が変化したら、その変化は少なくともモデル上では「ある行動特性」の変化として言える訳だから、実験操作による結果の解釈が行ないやすい。ただ、ここで問題になってくるのが、「果たしてそのモデルは正しいのか?」と言う事だ。モデルの評価と言うと思いつくのは、Loglikelihood、AICBICなどだが、モデルが行動とどれぐらいフィットしているかやパラメータ数との関係は評価出来ても、モデル内部の挙動(良い単語が見つからない)の評価にはつながらない。じゃあ、脳でそういうvaluationが行なわれているのか評価したら良いのではと最近思うようになった。これまでのmodel based fMRIだと一つのモデルを当てはめて、modelの変数とcovariedしている脳領域はどこだと言うのが多かったが、複数のモデルを当てはめる事によって、モデル間の評価が出来るのではないだろうかと最近考えている。
(O'Dohertyの所の論文で二つモデルを当てはめた論文があるが、全く異なるモデルに対応する脳領域はどこ?と言う感じなのでモデルの評価とはちょっと違う)


で、なんでこんな事を考え始めたかと言うと、imagingの強みって何だろうと考えた時に、中間過程を見られる事なんだろうと思う。imagingの論文を読んでいるときに、この中間過程が見えない論文を読んでいても(少なくとも自分は)あまり面白いと思えない。Psychophysistで超有名でかつ非常に面白い仕事をする人がいるが、その人のimagingの論文は全然面白くない。で、これは何でかと言う話になった事があって、imagingでおそらく捉えることが出来る中間過程が見えないからなんじゃないかと言うのが自分の意見だ。だから、psychophysistが最後の確認的にimagingを使うと、それはそれで入り口から出口までが綺麗に整ったエレガントな仕事にはなるが、imagingとしての面白みは失われてしまうではないだろうか。また、外側から見える指標だけでimagingデータを切るのならば、imagingなんていらないやんと言う意見が出てくるのは当然のことだろう。


じゃあ、逆に外側から見えない変数(モデル内部など)を評価するにはimagingが良いのではないだろうか。今revise中の論文(最初の投稿から1年経ってるが・・)での問題意識であった脳の自然なゆらぎやばらつき(内部変数の変化)に対して脳自身がどうやって適応させて行くのかと言う事ともつながって来る感じがする。