情けなや、日本神経科学学会

自分が所属する日本神経科学学会からもパブコメを送るようなメールが来たが、神経科学学会そのものが文科省・政府に対して何からのアクションを起こした形跡は見当たらない。

一方、以下の団体は共同で

を提出している。

日本生態学会
日本植物生理学会
個体群生態学会
日本藻類学会
日本動物行動学会
(社)日本生化学会
(社)日本薬学会
特定非営利活動法人 日本分子生物学
(社)日本植物学会


とある先生が、「神経科学学会の連中は神経科学は大事だと言うだけで、政策的な事への対応がまったくなっとらん」と言われていたが、この期に及んでまだ何もアクションを起こさない姿勢には、開いた口がふさがらない。それこそ、ノーベル賞受賞者利根川進さん理研BSIの所長として抱えている訳だから(利根川さんのノーベル賞受賞の仕事は免疫なんだが・・・)、日本神経科学学会+利根川進でマスコミを呼んで記事にしてもらう位の事をなんでやらないのか、正直理解不能である。独自のアクションはまだしも、なぜこの様な共同提言すら一緒にやろうとしないのであろうか?


確かに皆、総論としては科学は大事とは思っているが、どうして大事なのかと言うことの説明が出来ていないように思う。これでは、「道路や空港は大事」と言っているのと本質的に変わらないと言われても仕方がない。むしろ、道路が出来る事による変化の方が具体的な分よっぽど説明しやすいであろう。


じゃあ、科学は我々に何をもたらしてくれるのだろうか?


自分は「科学は我々に幸せをもたらしてくれる」と言いたい。


そりゃ物理が数学がすぐに我々の生活の役に立つかと言われれば、当然まったく役に立たないと言えるが、じゃあそこで得られた知見が30年後、50年後においても我々の生活の役に立たないと言えるか?と考えれば、50年後には役に立つものになっているものだっていっぱいあるだろう。iPSを生み出した発生生物学だって、50年昔は単に解剖して観察するだけの学問だった訳だが、そこの分子生物学が入り分子レベルで発生のメカニズムが理解され、ES細胞が出来てそれがヒトにも応用されてヒトES細胞が生まれた。その中で日本のヒトES細胞の利用の手続きが絶望的に厳しかった故に、山中先生はES細胞ではない方法で全能性細胞を作る方法を考えてiPSに至った訳だ。今、確かにiPSから治療への応用が現実に見えつつあるが、iPSは突然生まれたものではなくて、昔からの基礎研究の上に積み重なって出来ているものである。


同じように神経科学だって、脳を扱っている訳だから流行のBMIだけで無くもっと色々な事が発信できるのではないだろうか?そして、それらが生み出される基盤となる基礎研究の意義をそういう観点から発信できないであろうか?


妄想乙。と言われるかもしれないが自分は「幸せをもたらしてくれる科学」を目指したい。