科学研究を放棄する国

先週のScienceの記事によると、USでは来年の科学研究の予算の増額が決まったそうだ。
Congress Takes Care of Science In Quiet Finish to a Busy Year

Congress has quietly passed a 2010 spending bill that gives several U.S. science agencies pretty much what they expected, including a 2.3% bump for the National Institutes of Health and a 6.7% increase for the National Science Foundation.
Science 18 December 2009: Vol. 326. no. 5960, p. 1608


それに引き替え、事業仕分け後の日本の科学研究費は大幅な削減と非常にお寒い状況である。
Science portalの記事によるとスパコン予算が復活する代わりに文部科学省予算(おそらくは科学研究予算)を50億削減することで合意に達したそうだ。
Vikingさんのブログの記事にもあるとおり、スパコン復活の取引として、若手削減は避けられないんだろう。


研究室の同僚と話をしていると、日本よりもサブプライムのダメージが大きい欧州であっても科学研究費の削減は行われないと言っていた。日本の現状の話をしたら、「日本は気が狂ったのか?」と言う反応が返ってきた。特に若手の削減と言う事に関しては、「日本の政府は将来への投資を放棄する気なの?」と聞かれ、自分でも答えに窮してしまった。


それも、これも結局「日本全体をどのような方向性に持って行きたいのかと言うグランドデザインが無い」からなのだろう。グランドデザインがないから小手先の「仕分け」に終始してしまい、全体を見るとちぐはぐで、継ぎ接ぎだらけのシステムになってしまう。


それこそ、鳩山さんがPhDを取得したwikipedia:オペレーションズ・リサーチ的な単語に言い換えて見れば、初期値の設定やサーチの範囲の設定が狭い為に、局所最適解(local optimal solution)に陥ってしまいそれで満足してしまい、大局的な最適化(global optimization)を行う事が出来ない。と言う感じだろうか。